リコーが挑戦するペロブスカイト太陽電池について、ゆるっと考えてみた。
はじめに
リコーは今、大きな転換点に立っているのかもしれない
リコーは長年、複合機やプリンターの分野で存在感を持つ企業として知られてきた。
ただ、この10年ほどは市場環境の変化もあり、売上や営業利益が大きく伸びているとは言いにくい状況が続いているように見える。
・ペーパーレス化
・リモートワークの普及
・オフィス縮小
・印刷枚数の減少
こうした流れは不可逆的と考えられ、既存事業だけで成長を続けるのは難しくなっている印象がある。
その中でリコーは、これまで培ってきた印刷技術を活かしながら、
ペロブスカイト太陽電池という新しい領域に挑戦している。
この動きは、同社にとって“次の柱”を探す試みのひとつと捉えられそうだ。
ペロブスカイト太陽電池とは何か
ペロブスカイト太陽電池は、次世代の太陽電池として世界的に注目されている技術のひとつ。
・軽量
・曲げられる
・印刷で作れる
・コスト低減の余地が大きい
特にリコーは インクジェット印刷方式を採用しており、
これは量産性の面で有望とされるアプローチのひとつと考えられている。
課題として残る“耐久性”
一方で、ペロブスカイト太陽電池には耐久性の課題があると言われている。
・湿気
・酸素
・紫外線
こうした要因で劣化しやすいとされてきたが、近年は改良が進み、
10〜15年程度の寿命が見えてきたという報告もある。
ただ、一般的なシリコン太陽電池の25〜30年と比べると、まだ改善の余地がある段階と言えそうだ。
国家予算が1000億円超規模で投入されている
日本政府はペロブスカイト太陽電池を「次世代エネルギーの柱」と位置づけ、
かなり大きな規模の予算を投じている。
・NEDO GI基金:800.5億円
・タンデム型追加:153.3億円
・GX補助金など:100億円規模が複数回
合計すると 1000億円を超える投資 となり、太陽電池技術としては異例の規模と言えるかもしれない。
背景には、日本の地理的条件がある。
・平地が少ない
・都市部の建物に太陽光を設置しにくい
・軽量で柔軟な太陽電池のニーズが高い
ペロブスカイトは、こうした日本特有の課題に適した技術と見られている。
中東情勢が“開発を急がせる要因”になる可能性もある
日本はエネルギーの多くを輸入に頼っており、特に原油は中東依存度が高い。
そのため、中東情勢が不安定になると、エネルギー価格や供給リスクが高まる可能性がある。
こうした状況は、
「国内で作れるエネルギー技術」を強化する動機を高める と考えられる。
ペロブスカイト太陽電池は、建物に貼るように設置できるなど、
都市部でも導入しやすい特徴を持つため、
エネルギー安全保障の観点からも注目度が高まる可能性がある。
これはあくまで将来的な見通しのひとつだが、
国家プロジェクトの後押しが強まる方向に働く可能性はありそうだ。
国家プロジェクトは複数企業の総力戦
この1000億円超の国家予算は、リコーだけでなく複数企業に配分されている。
・リコー:印刷方式による量産化
・積水化学:フィルム型、量産ライン
・パナソニック:タンデム型(高効率)
・東芝:透明ペロブスカイト
・大日本印刷(DNP):封止・バリアフィルム
・大学・研究機関:材料・基礎研究
リコーはその中で 量産化の主要プレイヤーのひとつ と位置づけられている。
リコーは国家予算のどれくらいを得ているのか?(※推定)
リコーが国家予算のうちどれくらいを獲得しているかは、
公式には公表されていない。
ただ、プロジェクトの構造や役割分担から推測すると、
全体の10〜20%(80〜160億円)程度
という見方が自然ではないかと考えられる。
※これは公開情報からの推定であり、明確な根拠があるわけではない点には注意が必要。
量産化の成功可能性について
リコーの量産化がどこまで進むかはまだ不透明な部分もあるが、
技術力や国家支援、競合環境などを踏まえると、
成功の可能性は一定程度あると見られている。
ただし、耐久性や歩留まりなど、量産化に向けた課題も残っているため、
慎重に見守る必要がありそうだ。
株価への影響はどの段階で出てくるのか
ペロブスカイト事業はまだ売上が立っていないため、
現時点では株価に大きな影響は出ていないように見える。
ただ、一般的に新規事業が株価に影響を与えるタイミングとしては、
次のような段階が考えられる。
①量産ライン建設の発表
→ 市場が「事業化が現実味を帯びた」と受け止めやすい
②初期量産・売上計上
→ 新規事業としての評価が始まる
③黒字化・事業の柱化
→ 企業価値に本格的に織り込まれる段階
リコーの場合も、こうした流れに沿って市場が反応する可能性がある。
※ここで述べているのは一般的な市場の傾向であり、特定の株価の動きを保証するものではありません。
おわりに
リコーは長年、オフィス機器の企業として知られてきたが、
市場環境の変化もあり、新しい方向性を模索しているように見える。
ペロブスカイト太陽電池への取り組みは、
単なる新規事業というより、
企業としての新しい可能性を探る挑戦
と捉えることもできそうだ。
もし量産化が実現すれば、
リコーはエネルギー分野でも存在感を持つ企業へと変わっていくかもしれない。
その挑戦は、日本のエネルギー安全保障や産業競争力にも関わるテーマでもあり、
今後の動向を静かに見守りたくなる取り組みだと感じている。